生の素材をありがたく受け止め、自分の魂を込めてひとつの宝物に仕上げていく。演奏される方の音色(ねいろ)が人々の心に響くよう「楽弓」に魂を込めて日々研鑽を積み製作をしています。
まだ、日本において西洋の楽器が珍しかった100年以上も前から(1899年創業)、弦楽器を奏でるための「楽弓」ひとすじに造り続けてきました。この歴史の中で、多くの弓を製作した《杉藤楽弓社》の歴代の当主や職人たちの編み出した秘法や、研究成果を守り、更に向上させていく熟練の職人が今日も存在します。わたしたち日本人の職人技が、今や欧州はもとより、アメリカやアジアの国の人々に認められ、支持されるメーカーとなりました。現在、日本の演奏家は世界のトップレベルです。
その名プレイヤーの方々をはじめ、弦楽器を弾き始めたお子様たちまで、全ての方たちの右腕として信頼できる楽弓を作り続けてまいります。
1889年 | 初代 | 杉藤鍵次郎(1862-1920)楽弓の製作をはじめる。 |
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1918年 | 二代 | 杉藤文五郎(1888-1970)、楽弓製作を継承。 職人を育て始める。 |
1946年 | 三代 | 杉藤武司(1923-1994)、楽弓製作を継承。 |
1964年 | 「合資会社 杉藤楽弓社」として会社を設立。 三代として「杉藤マイスターボー」の製造法を確立。 |
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1975年 | 四代 | 杉藤浩司(1952-2008)、欧州留学し楽弓製作を開始。 |
1994年 | 杉藤浩司、社長を継承。 四代として「杉藤センシティブボー」の製造法を確立。 |
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2008年 | 五代 | 杉藤慎子、社長を継承。 |
2014年 | 「株式会社 杉藤楽弓社」に組織変更。 |
「品質の同一性」
天然材は、もちろん一本ずつ違います。 では、天然木で一本作りの製品の品質が、なぜここまで揃っているか。杉藤では、まず木取りで全ての材を同じ形で切り分け、スタートラインを揃えて並べます。ここから厳しい職人の選別がはじまり、「楽弓」としての性能にそぐわない材は木取りの時点で廃棄され、工房に持ち込みません。工房に入り、 職人たちが楽弓として仕上げながら、度重なる選別で合格した材を上のランクへと挙げていきます。職人の目利きと、機器的な計測などのランクわけで、楽弓の機能性が同一ランクのものを集め、品質的にも比例するように選別されています。
お客様は材の持つ性質の高さ、またはお値段など信頼できるラインナップから選ぶ事が出来ます。安心して製品を選んでいただけるのは、こうした努力を続けているからです。
「高級弓の希少性」
フェルナンプコという材は、楽弓にとって最高の材です。この材をどう使うかということは、弓づくりとしての最も力が発揮できるところです。高級な弓を作る事は、最高の材の中でも最も良い部分で作る事であり、それは希少なものです。
材からの切り出し方で、弓の性質が変ります。材の段階で高級材を目利きで見つけ出し、最高級部分で素材の性質を充分に活かし製作する弓《センシティブ弓 》と、材をスタートラインに揃えて選別を繰り返しながら最高級品弓として選んだ弓《マイスター弓》。
杉藤の弓は、このように特別な製法で製作されており世界にまたとない「魔法の杖」と呼ばれている最高品質の楽弓です。タイプは二つ、あなたはどちらの弓を選びますか 。
杉藤の主役は熟練した職人たちです。
一本作りの製造法を習得した上で、各自得意分野の長として、
製法を伝え、責任もって仕上げます。
日々、より良い方法を研究し、楽弓としての質の向上を目指して努力を重ねています。弓の機能性はもちろん、細部にわたる仕上げの美しさは国内はもとより、欧米、アジアなど様々な国で大きな評価を得ています。
試奏も製作工程の一部です。
弊社の弓の品質の管理はプロの演奏家によって
実際に音を出すことで確認しています。
試奏では「音色」と共に「弾き心地」「機能性」「仕上がり」までをチェックし、そのアドバイスにより、製作者が更に調整を施し、完壁な弓を仕上げます。高級弓においてはヴァイオリン、ヴィオラ、チェ口、コントラパスの多数の演奏家の方々に試奏を依頼し、弓のランクの確認をお願いしております。
アフターメンテナンス
杉藤(SUGITO)の刻印が捺された楽弓は弊社の大切な歴史の品々です。
お客様のもとにある杉藤の弓のアフターメンテナンスは責任をもって見させていただきます 。弊社の楽弓におきましては購入して間もない楽弓から半世紀以上も前に製造した古い楽弓まで、使い勝手のご相談や仕上げの変更のお問い合わせも受け付けております。
現状のお話を伺いながら自分だけの、自分のための弓に仕上げることも可能です。楽弓についてのお悩みは、杉藤にお寄せください。(杉藤の弓の調整は永年無料です。変更・部品等によっては一部有料になることがございます。 ご相談下さい。)
一本の弓を作り上げる大切さを自信とプライドをもって製作いたします。そこに杉藤の音楽に対してのこだわりがあります。